るりぼんの凡汎日記

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引きずる足音

今週のお題「怖い話」

母方の祖母が亡くなり、四十九日の法要に参加する為、母と二人で叔母の家に泊まった時の出来事です。

叔母は優しい性格で、生前祖母のお世話をよくしていました。祖母も叔母のことを特に信頼していたようです。

久しぶりに会った叔母はとてもやつれていて、母親の死がよっぽどこたえているのだと思いました。

夕食をいただいた後で、叔母は意を決したような面持ちで話し始めました。

「成仏していないような気がする」と…。

叔母の話では、亡くなって数日経った頃から夜寝床につくと必ず、布団の周囲を誰かが足を引きずって歩いているような音がする、と言うのです。

足が悪かった祖母の歩き方に似ているので、成仏していないのではないかと気になり霊能者に見てもらったとの事。

霊能者の見立てでは、亡くなったことに気づかず優しいあなたを頼って来ているだけだから「もう死んでいるのだよ」と根気よく教えてあげてください、と言われたそうです。

夜も更けて、叔母が私達の布団を用意してくれていた時のことです。私が座っているすぐ横から

「ズリ…ズリ…」

と何かが這うような音がしました。

最初は虫が這っているのだと思いましたが何もいません。

音は一定のリズムで私の周りを大きく一周しました。

 

「この音は、もしかして?」と聞くと

「あなたにも聞こえているのね」と、叔母は驚いていました。

すぐ傍にいた母には何も聞こえなかったそうです。

 

翌日無事に法要と納骨を終え、母と私は家に戻りました。

 

叔母に確認したら、あの日以来音はしなくなったそうです。