おばあちゃんと呼ばれて
今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」
私の母は、いい年になっているのに他人から「おばあちゃん」と言われることをとても嫌う人でした。
タクシーの運転手さんから「おばあちゃん、ドアを閉めるから足に気を付けてネ」なんて声をかけられようものなら、「客に向かっておばあちゃんとは失礼だろうがっ」と平気で文句が言えちゃう人だったのです。
知らない人から「お母さん」と声をかけられるのも不快みたいで
「私はあなたのおかあさんじゃないよ」とか
「あなたを産んだ覚えはない」
とよく怒っていました。
「お母さん」は女の人を呼ぶ時の総称だよ、と言っても
「なら、独身の人や子供がいない人にもお母さん呼ばわりは尚更失礼だろうが」
という具合です。
ですから「孫が出来ても「『おばあちゃん』とは絶対に呼ばせない」と豪語していました。
私に息子が産まれて、母も父もそれはそれは可愛がってくれました。
毎週のように会っていた上、毎日電話で父が「じいちゃんだよ」と呼びかけていたので、息子が最初に覚えた言葉はママでもパパでもなく
「じいちゃん」だったのです。その時の母の悔しそうな顔ったら……。
それからは猛烈に「ばあちゃんだよ」と息子に呼びかけて、1か月後くらいに無事
「ばあちゃん」と呼ばせることに成功していました。
「おばあちゃん」とは呼ばせないんじゃなかったの?と聞いたら、
「孫なんだから当たり前じゃないか」と涼しい顔をしています。
女心は複雑なのですね。