米澤穂信 ボトルネック
好きな作家さんの一人に米澤穂信さんがいます。
氷菓で「第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)」を受賞してデビューされた作家さんです。高校生の視点から描かれた『古典部シリーズ』や『小市民シリーズ』はライトノベルとミステリーが融合した作品として圧倒的な人気を博し、日常の謎を描かせたら右に出る者はないと言われています。
ライトノベルなるものを、私は「氷菓」で初めて読みましたが、魅力的な登場人物と、日常の身近なところに隠された謎を紐解いていく面白さにすっかり魅了され、古典部シリーズはほとんど読みました。
主人公の折木奉太郎は省エネ主義者で、モットーは「やらなくてもいいことならやらない。やらなければいけないことなら手短に」だそうです。このセリフを聞いただけでも面白いことがわかりますよね。
登場人物がキャラが立ち魅力があること、日常の中にミステリーがあり展開に驚かされること、そして何より美しい日本語で綺麗な文章を書かれる米澤さんは天才だと思います。
米澤さんの作品で印象に残っているものは、
「さよなら妖精」「愚者のエンドロール」「遠まわりする雛」「クドリャフカの順番」「犬はどこだ」「リカーシブル」「満願」等など…。
他にもまだまだたくさんありますが、特に衝撃を受けた作品は「ボトルネック」です。
ボトルネックの意味は、物事を進める上で妨げとなっている悪い部分の事です。
この作品は、とにかく切なくて辛いお話で、読み終えた後いつまでも心に刺さっています。後味が悪くスッキリしませんが、この作品に出合って、米澤さんをもっと読みたくなった最も心にずっしり残った作品ですのでご紹介したいと思います。
○ボトルネックの<あらすじ>
2年前に亡くなった恋人を弔うために彼女が死んだ東尋坊を訪れた高校1年生のリョウは、母親から兄の訃報を聞き葬式の為に戻ろうとして東尋坊の崖から転落してしまう。
だが死んだと思っていたリョウは自分の住む金沢で目覚め、家に戻ると存在しない筈の『見知らぬ姉』サキがいた。サキとの会話の中で、リョウは自分が生まれていない世界に飛ばされたことを知り、自分がいた世界とサキのいる世界の相違を見つめ自らの身に起きた出来事の手がかりを探っていく…。
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